香水マニアmillyのニッチフレグランス連載①~ L’ARTISAN PARFUMEUR~
今、じわじわと脚光を浴びているニッチフレグランス。それってファッションフレグランスとどう違うの?またニッチフレグランスってどんなブランドがあるの?そんな疑問にお答えしつつ、私が愛するブランドを紹介していきたいと思います。まずは私が香りマニアになるきっかけになったL'ARTISAN PARFUMEUR (ラルチザン パフューム) から……。
2019年01月11日更新
記事の目次
[1]香水と私
こんにちは!香水マニアのmillyです。セレクトショップのVMD(商品や店舗のディプレイにより行うマーケティングのこと)をしていた2005年頃に、「L’ARTISANPARFUMEUR(ラルチザンパフューム)」と「diptyque(ディプティック)」というフレグランスブランドに出会い、急速に”香り”に惹かれるようになりました。
当時の私にとっては「洋服が一番自分の気分をあげてくれるもの」でしたが、今ではすっかり「ファッションと香りのコーディネートが一番気分をあげてくれるもの」に変わっています。
ファッションがお好きな方は共感していただけると思いますが、「人と被らない」「自分だけの個性」を表現したい時に、ファッションが力になるように香りも同じくらい素敵な力を発揮してくれているように感じるのです。ですので、私がニッチフレグランスにハマったきっかけは、その「自分だけの個性を表現したい」という点が強かったかもしれません。
[2]メゾンフレグランス・ニッチフレグランス・ファッションフレグランスの違い
香水に詳しい方でないと、ニッチフレグランスって何?の前にメゾンフレグランスやファッションフレグランスの違いって?疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。ですので、それらについて簡単にまとめてみました。
【メゾンフレグランス】
ゲランや、フローリス、ペンハリガンなど長い歴史と伝統を備えた香水専門ブランドが展開するフレグランス。トレンドよりもタイムレスでオーセンティックな香りづくりにこだわり、
代々受け継がれてきた香りを現代の香料で継承・発展させているのが特徴。
【ニッチフレグランス】
フレデリック・マルや、ラルチザンパフュームなど…アート性や個性を追求してつくられたフレグランス。珍しい香料や希少性が高い天然香料を用いられることが多く、独創性に溢れた香りが揃うのが特徴。
【ファッションフレグランス】
シャネルやディオール、イブサンローランなど、ファッションブランドやコスメティックブランドが発信するフレグランス。シーズン毎にそのコンセプトが香りやボトルデザインに表現され、トレンドを感じさせるのが特徴。
[3]なぜ?いまニッチフレグランスが人気なの?
この数年で、香り市場は確実に日本の中で成長を遂げてきました。
数年前と比べると、店頭に並ぶ香水の種類は格段に増えました。当時セレクトショップにしか入っていなかったブランドも、今は直営店がオープンしていたり、もしくは扱う店舗が増えたり、拡大の傾向に……。
今は、香水、キャンドル、ルームスプレー等のアイテムが人々のライフスタイルに自然と溶け込むような時代。香りを楽しむ人口も増えましたし、いわゆる香りマニア、もしくは香り好きな人も増えました。
メゾンフレグランスやファッションフレグランスは、そんな香り好きな人にとっては「既に知っている香り」であることが多く、「より新しい香り」や「こだわって作り上げられた香り」「アーティスティックな香り」を求めるべく、ニッチフレグランスに熱い視線が注がれているのだと思います。
[4]L’ARTISAN PARFUMEUR (ラルチザン パフューム) との出会い
香りが人の行動を変える瞬間を目撃!
2005年、渋谷PARCO1階のショップで働いていた私は、時折店頭に立ちつつ次のディスプレイを考える日がありました。そのショップは1階入口付近。立地的には一見優位に見えるのですが、お客様的に何か興味惹かれるものがないと簡単にスルーされてしまう場所。
また今も数名のお客様が目の前を通過しようとしたその時。スタッフがラルチザンパフュームのルームスプレーを店内にシュッとひと吹きしたのです。すると通り過ぎようとしていたお客様数名が「わぁ、なんだかすごくいい香り」と言って、通りすぎることなく店内に入ってくるではありませんか!
「香りが人の行動を変える瞬間」を目の当たりにした私は、感銘を受けました。
素敵な香りってやっぱり人を惹きつけるんだなぁと。そして同時に「私も香りで人を惹きつけられるようになりたいな」という気持ちが芽生えたのもこの瞬間でした。
(ルームスプレーは写真左上のものです。残念ながら今は販売されておりません)
[5]L’ARTISAN PARFUMEUR (ラルチザン パフューム) の代表的な香り
MURE ET MUSC(ミュールエムスク)
出典 latelierdesparfums.jp/mure-et-musc-edt-spray-100ml
ちなみに、見事お客様を店内に引き入れた香りは、ミュールエムスクです。
フレッシュなベリーが弾けるようなフルーティーで透明感のある香り。ルームスプレーではなく香水になるともう少しムスクやオークモスのセンシュアルな雰囲気が加わり、ミステリアスなムードに。世界的に人気なのもうなずけます。これは誰からも好かれる香りだと思いますから。
こちら同じ香りでも、ミュールエムスク(オードトワレ)とミュールエムスクエクストリーム(オードパルファム)があり、かなり香り立ちが異なりますので選ぶ際にはご注意を。
ミュールエムスクエクストリームの方が、ブラックベリー感が強まり、カシスのフルーティーさがプラスされ、フレッシュさよりも甘さが際立ちます。例えていうと、ミュールエムスクが昼が似合う香りなら、ミュールエムスクエクストリームは夜が似合う香り、といったところでしょうか。
ところで、ラルチザンパフュームはその香りのネーミングも素敵なことで知られています。
例えば、ミュールエムスクは「黒イチゴとムスク」ですし、次にご紹介するシャッセオパピオンは「ちょうちょをつかまえて」という和名です。なんだか可愛くないですか?
CHASSE AUX PAPILLONS(シャッセオパピオン)
出典 latelierdesparfums.jp/l-chasse-aux-papillons-edt-sp-100ml
太陽が降りそそぐ空の下、ちょうちょを追って迷い込んだお花畑。その思い出からインスピレーションを受けて誕生した香り。ジャスミン、オレンジフラワー、チュベローズが生き生きと香るフレッシュフローラル。
こちらもシャッセオパピオン(オードトワレ)とシャッセオパピオンエクストリーム(オードパルファム)ではかなり香り立ちが異なります。オードパルファムは、ベースにベチバーとバニラが加わっており、深みもあって奥行も感じられます。ちなみに和名が「究極のちょうちょをつかまえて」という名前で、私がいたショップでは人気でいつも欠品し入荷待ちでした。
PREMIER FIGUIER (プルミエフィグエ)
出典 latelierdesparfums.jp/premier-figuier-edt-spray-100ml
和名、青いイチジク。その名の通りイチジクの葉の青みがかった香りがトップに弾けます。
やがてフルーティーで瑞々しいイチジクの香りに包まれ、ラストはサンダルウッドやアーモンドミルクのまろやかさが顔を出します。私はいつもこれを纏う時、南国でバカンスしている気分に浸っています♪世界で初めてイチジクをテーマに作られたフレグランス。
こちらもオードトワレとパルファムではかなり香り立ちが異なります。パルファムは、イチジクをベースにホワイトフローラルやサンダルウッドを贅沢に重ね、プルミエ フィグエの世界をより深めたエクストリームバージョンです。
[6]L’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザン パフューム) の魅力
他にも、メシャンルー(いじわるオオカミ)や、パッサージュダンフェ(地獄通り)、ティーフォーツー(二人のためのお茶)など素敵な香りはたくさんあるのですが、かなり長くなってしまうので全てをご紹介することができず残念です。
詳しくはぜひ、公式サイトをご覧ください。
L’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザン パフューム)の魅力は、その透明感のある香りと、トップ、ミドル、ラストの香りの変化のドラマティックさとウィットに富んだ絶妙なネーミングにあると思います。
また、当時の私のように香りビギナーでも比較的トライしやすい点もポイントです。
L’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザン パフューム)に出会ったとき、今まで他のメゾンフレグランスや、ファッションフレグランスのどの香りとも似ていない「何か」を感じました。それは当時自分があまり香りについて詳しくなかっただけ、というせいもありますが、かなり香りに詳しくなった今でもそう思うので、それはきっと「個性」なのでしょう。
さらにその「個性」は身に纏う人の肌質や体温によっても変化して、より一層そのひと「らしさ」を醸し出します。同じ香水なのに人によって全く別の魅力が生まれたりすることも面白いです。人とは違う「自分らしさ」をさりげなく演出したいときにL’ARTISAN PARFUMEUR(ラルチザン パフューム) はおすすめです。